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【第2話:特別インタビュー】JPN TAXI ~東京トヨペット・タクシー部 知られざる物語

2019年02月13日

タクシーにまつわる「知らなかった!」がわかるTAXI(タクシー)+DICTIONARY(辞書)。題して「TAXINARY-タクシーナリー」。第2話は、JPN TAXI-ジャパンタクシーを支える知られざる東京トヨペット・タクシー部へのスペシャルインタビュー。「これからの20年を創る」トヨタのスピリッツを担う東京トヨペット株式会社の大畑教さんに話を聞いた。

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―虎ノ門にある東京トヨペットの「タクシー部」の部長でいらっしゃる大畑さん。大畑さんプロフィールをお聞かせいただけますか。

東京・虎ノ門にある東京トヨペット株式会社でタクシー部の部長をしています。業務としては、都内全域のハイヤータクシー事業者を訪問、販売活動行っています。

―東京トヨペットにタクシー部という部署があることをご存知ない方はたくさんいらっしゃると思うのですが、どんな部署なのでしょうか。

タクシーやハイヤーの会社様向けの車両を取り扱い、販売をしています。

―タクシー部とは珍しい部署ですね。どんな車両を取り扱っていらっしゃるのですか?

今は9割JPN TAXIを取り扱っています。

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―なるほど。タクシー部のうち9割がJPN TAXIというということで、今はこの車両を強化して販売されていく、ということなのですね。販売方法はタクシー事業者にご訪問されるスタイルなのですか?

そうですね。まずわたくしたちの部署は、およそ30名のスタッフがおります。営業が約9名、そのほかに技術グループ約8名、出納、登録書類、車両オーダーする業務スタッフが約 9名おります。技術グループはタクシー事業者様の中の整備工場等を巡回して、車に関する情報を常にいただきに行っています。

―技術グループの方々は、いわゆる営業の方とはどう違うのでしょうか?

フィールドマンは、常に車両がどういう状態で動いているか、ご不便はないか、不都合はないかをお聞きし、現状の課題を解決しながら、出来る範囲内で可能な改善をさせていただき、また、次のマイナーチェンジ、大幅アップデートのために情報を集めているスタッフです。

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―最近、JPN TAXIが東京の街中で増えてきましたね。あらためて、JPN TAXIの特徴をお聞かせください。

この車のコンセプトとしては、“日本の景色を変える”、“日本のおもてなしの心”。バリアフリーのまちづくり、また観光立国として日本に貢献することがメーカーとしての想いであると認識しています。お子様・高齢者・海外の方・観光の方にやさしく快適なタクシーをご提供するために開発されました。

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―このJPN TAXIは色も随分違う印象を受けました。現行のタクシーとは見た目の印象がだいぶ変わったと。

そうですね。古くからある「藍色をまとう」日本の伝統色「濃藍」という色になります。日本人の“心の色”として海外からもジャパンブルーとして認識されていることを受けてこの色を車両に採用したと聞いています。 剣道着も藍色、袴も藍色ですよね。藍色は日本古来の色なんですね。今回は、日本の景色を変える新しい20年のはじまりになります。今まではタクシー事業者の各会社の色をあらわしていました。それが藍色になったんです。

―そうですね。今まで黄色、オレンジ、緑、白など、各タクシー会社を判別する色がありましたね。これが「藍色」になったと…。

はいそうなんです。「濃藍」のJPN TAXIとして統一してきているわけですから、とても大きな変化だと思います。東京が、日本が1つになる。2020年の五輪に向けても五輪シンボルマークを車体に貼るなど、団結した動きも出てきていますね。

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―そうですね。これはタクシー会社間の垣根を越えて、大きな変化だと改めて認識しました。車体もセダン型から大きく変わりましたね。なぜ、あの形になったのでしょうか。

時代に左右されず、流行に左右されないスタイリングです。この先20年は、この形でやっていきたいという想いがあります。現行のセダン車両は、およそ20年の間、タクシーの象徴としてスタイルを作ってきました。車両はサイクル的に次の20年の新しい形だと思っています。20年と言いましたのは、あまりに形が短い期間で変化しすぎると、部品、修理の観点からしても、タクシー事業者様にとって大変になってしまうんです。

―たしかに修理はタクシー事業者の各社で行われていますね。

タクシーのメンテナンス・修理は、基本的にタクシー事業者が行っているのが通常ですね。今回のように新しい車両が出ると、わたしたちの技術グループスタッフがご協力しています。

―たしかにトヨタのディーラーで修理なども行っているというのではなく、タクシー事業者が修理から車両の管理をする。そのための整備に関する指導として、大畑さんのタクシー部の技術グループが、常に事業者を訪問しているということなのですね。

はい。そうです。車両は常に整備する必要がありますから、タクシー事業社様が行う業務はとてもたくさんあるんですね。

―燃費面、環境面はいかがなのでしょうか。

セダン、コンフォートに比べおよそ約倍の高燃費になりました。

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―倍ですか。それはタクシー事業者には大きな運営上のコスト・メリットになりますね。

はい、そう思います。おそらくJPN TAXIの普及により急速に改善・進化していると言えるのではないでしょうか。また今回は使用燃料としてLPガスのハイブリット車両を採用したことが非常に大きかったのではないかと思いますね。業界唯一のLPGハイブリット車両。タクシー専用車両としての世界唯一の貴重な車でもあるといえますね。

―JPN TAXIは2020年までにどのような普及を想定しているのでしょうか。

東京ハイヤー・タクシー協会でもおっしゃっているように、2020年までに約1万台の普及を目指しています。わたしたちタクシー部では、東京のタクシー事業者様に供給できるような対応・体制をとっています。

―20年前に開発された既存のセダンも、とても耐久性があり乗り心地は良く、ファンは多いとも聞いています。ドライバーの観点では、セダンへの慣れもありますよね。

そうですね。タクシー事業者様によって積極的に導入される会社もあれば、まだ導入されていない会社もあります。まだJPN TAXIは新しい車両ですから、初期トラブルが多いだろうと、様子見をされているお客様もいらっしゃったと思います。

―内装面での変化はいかがでしょうか。わたくしは何度も乗っていますが、まず天井が高く快適ですね。 ご利用のお客様のご反応はどう聞いていますか。

そうですね。天井が広くていいですとか、空間の広さ、乗り心地、乗り込みのしやすさはありますね。 シートヒーターもありますね。車両によりシートヒーターがないものもありますが、寒い時期などは暖かく安心できますから、そんな機能もございますね。

―国内・海外旅行でのキャリーバッグが足元にそのまま乗るのもいいですね。

そうですね。いままでのタクシー車両のFR(フロントエンジン・リアドライブ)からFF(フロントエンジン・フロントドライブ)になって、足元がまっ平になりました。これにより広さを感じるようになりました。

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―なるほど。足元がなぜか広いのはFFになったからなのですね。

はい。それに車両が「縦」に長くなった分、ガラスが広いので視界が広くなり、景色が良く見える、とお客様から言われますね。

―たしかにそうですね。視界はとても広い。ただ不思議なのは、視界も広くなり体感の快適度も上がっていますが、車両自体は、よく見ますと、さほど大きくないですよね。

そうですね。とてもコンパクトな車両ではありますね。

―JPN TAXIを運転するタクシー乗務員の方々の評価としてはどうでしょうか。

スライドドアになったことで、開閉スピードが遅いというご指摘は受けます。開けるときよりも、お客様が乗車されてドアを閉めるときのスピードが遅く、すぐ発車できないとの声があります。

―たしかに既存タクシーのドアですと即時ですが、スライドドアは時間がかかりますね。

そうなんです。あとは、ドアの開閉タイミングで、うしろからバイクが来るなどの危険性もありましたが、スライドによって解消されましたね。スライドドアにより一層、お客様のそばに車体を寄せることも可能になりました。他にハザードランプスイッチの位置が大きく変わったことによって、やりづらいというお声はいただきますね。フェンダーミラーを採用したのは、今までの車両から違和感のないようにフェンダーを採用していますが、運転席から見ると回送表示板などの視界にかかる、などのことは指摘されますね。

―セダンですと、前の運転席や助手席のシートが近い場所にありましたが、JPN TAXIは座席が迫る感覚がなく広いですね。シートベルトは必須ですから、お客様に徹底していただく必要がありますね。

そうなんですね。車両に衝突防止機能がついているので、乗務員が意図しないところで急ブレーキが効いてしまい、前に体が出ることはありますから、そのあたりは乗務員の方もお客様もしっかりとシートベルトをご誘導する必要がありますね。

―さきほどJPN TAXIの意義として、高齢者の方や車椅子の方などUD車両としても快適さを追求していくとおっしゃっていました。車椅子に乗ったまま、お客様を載せることが可能となるJPN TAXIですが、現状での利用に関する意見はどのようなものがありますか?

そうですね。これから各事業者様には、乗務員の方にとっても、よりスピーディに効率よく車椅子を載せるための部品、セットアップ方法などを、さらに強化してご指南していく予定です。車椅子をお載せするには、備え付けのスロープ等の部品を設定して、車椅子を車内に積み込んでいく作業になります。乗務員さんがご高齢の方もいらっしゃるために、車椅子のお客様を誘導していくためには、乗務員さんの手際や経験なども必要なってきますから、そのあたりのノウハウを集めて、どんどんタクシー事業者様の皆様にお伝えしていく予定です。

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―少し話は変わりますが、この車両は一般販売されているそうですね。

はい。普通のお店で売っているんです。そのままJPN TAXIの名前で販売しています。意外と知られていませんね。

―さすがに「濃藍」カラーの車両は売っていませんよね?

いいえ、いいえ。買えるんですよ。タクシー事業者様は緑ナンバーですが、一般ですと白ナンバーになりますから、白プレートのJPN TAXIは通常車両なんです。現に買った方もいらっしゃいます。「濃藍」「ブラック」「スーパーホワイト」の3色ございます。シートの色は「巧(たくみ)」「和(なごみ)」の2種ございます。前のセダンも同じことがありまして、タクシー用に開発されたものでも一般の方がご購入され乗られていました。

―たしかに耐久性、燃費、あらゆる面で優秀な車ということになりますから、一般にも良いですね。とても納得できる車両ですね。このJPN TAXIは、いつアップデートされるのでしょうか。

そうですね。アップデートが早くなると車両本体価格の高騰につながりますから、頻繁に行うことはありません。ただし法規制の改定が入ることがあります。そのようなときは法改正にあわせてアップデートをかけていきます。

―なるほど。今回、東京トヨペットにはタクシー部という部署があり、タクシー事業を営む事業者と密に連携していることを知りました。いかにお客様に快適にタクシーに乗っていただくか、メーカーとしての車両開発とともに、タクシー事業者の方と交流を重ね、フィードバックや指南を行うタクシー部の重要な役割を知りました。

タクシー事業者様に訪問し、交流させていただく時間、いただく情報や知識は、トヨタの開発に大いに影響をあたえているんです。日頃から車両をよく知る事業者の皆さまが、良いことも改良点も、すべてお話くださるために、タクシー用の車両だけではなく、トヨタが取り扱うあらゆる車に、その貴重な意見が反映されています。ですからトヨタの品質はタクシー事業者様とともにあるんです。トヨタの思い入れが車に、そしてこのJPN TAXIに想いが込められているんです。

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―なるほど。人と人。タクシー事業者に会いに行って「生」の声を聴く。アンケートを簡易的にとる、という話などではなく、タクシー部はその架け橋となる、部署であるのですね。

タクシー事業者様、そして、ご利用いただくお客様に感謝をして、私たちは今日も、明日も仕事に邁進してまいります。

―熱い言葉をいただき誠にありがとうございました。

■取材協力:東京トヨペット株式会社

 

 

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新しい20年を創るJPN TAXIは、いままで分離されてきた通常乗車と車椅子の乗降を「共存する」という概念で、かつコンパクトに作られた新時代の車両。そんなJPN TAXIで、どのように車椅子が乗降するのか、を実体験!三和交通にてJPN TAXIで車椅子乗降を何度も行っているというベテラン乗務員の渡邊さんの乗務を体験した。

Processed with MOLDIV

なんともスムーズ、およそ5分でスムーズにJPN TAXIの車内へ誘導・セッティングしてくださった渡邊さん。いとも簡単に対応していると思いきや、ご本人いわく「やるごとに覚えていく」「必要だから覚えていく」「やっていくうちに少しずつアレンジする」の3つの積み重ねだという。お客様をお待たせすることなく、不快さや不安を与えず、乗降いただくためのドライバーの努力は、「仕事」ということ以上に、心底、“おもてなしの心”がない限りできないことでもあると分かった。

通常、慣れない乗務員であれば、ここまでスピーディに対処することが難しいJPN TAXIではあるが、神対応の渡辺ドライバーの「熱きドライバー魂」だからこそ、ここまでスピーディにホスピタリティに触れることができた貴重な体験でもあった。JPN TAXIは、報道にもあるように、これらますます車椅子の乗降者にかかる時間や装備の改善を行っていくという。快適なJPN TAXIを、車椅子にとっても優しい車両へと、さらなる進化を期待していきたい。

(写真キャプション)⓵まず後部のスライドドアを開け、車椅子乗車のために必要なスロープを車内から組み立てる準備 ⓶スロープを設置中 ⓷これで設置が完了 ⓸渡邊さんが車椅子を押して乗車 ⓹乗り込んだら車椅子をベルトで固定する ⓺青いベルトでしっかり固定され視界も良好。これで車椅子に乗ったまま乗車完了が完了だ ⓻渡辺さんは不安がないように説明や声がけを行ってくれる。まさに神対応! ⓼降車時はベルトをはずし、渡邊さんが車椅子をひいてゆっくりと道路まで降ろしてくれる。

 

●JPN TAXIをさらに快適に!

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(キャプション1)衝突防止機能が万が一働いてもいいように、紙を貼って「安全が大優先だからシートベルトをするような注意書き」も工夫してご案内している。

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(キャプション2)車椅子を折りたたんで乗降する場合、このようなステップを用意し乗車いただいている渡邊さん。高齢やご不自由のあるお客様には段差を解消するため、ホームセンターで踏み台を購入し、 ステップに滑り止めを装着しているそうだ。

車椅子体験_キャプション3_02 車椅子体験_キャプション3_01

(キャプション3)安全を第一に考えてハンドルグリップは色弱の方にも配慮したイエローカラーのアシストグリップを採用している

 

●渡邊孝行さんの熱きメッセージ!

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タクシー乗務員になって13年目になります。先代の社長が学校の先輩で、そのご縁でずっと勤務しています。 生まれも育ちも南千住。この会社のそばで生まれ育ち、そして今もここがわたしの場所です。 JPN TAXIへ車椅子乗降は、月に1度ご指名で乗車されているお客様がいらっしゃいまして、毎月行っています。新規のお客様もいらっしゃいますから、3か月に1度あるかないか。そのような頻度で車椅子の乗降は行っています。車椅子をたたんで乗車される方もいるので、わたしとしては数多くの車椅子のお客様のご対応をしています。わたしはとにかく、「やるごとに覚えていく」「必要だから覚えていく」「やっていくうちに少しずつアレンジする」その積み重ねでしかないんです。普通にやったら20分くらいかかるのですが、今ですと10分程度で設定することができるようになりました。車椅子のお客様をお乗せする作業は料金に反映されないんです。それはドライバーの心構えなんです。わたしは、もっと簡素化できるようなことを考え、もっと快適にご乗車いただけるようにしていくつもりです。

取材協力:三和交通
東京都荒川区南千住3丁目12番6号
https://sanwataxi.co.jp/
TEL 03-3801-5311

 

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【予告】第3話もTAXIにまつわる“知らなかった~”をお届けします。お楽しみに!